海中林を守りたい
服部製紙は手すき和紙に始まり、紙テープ・七夕紙を経て、トイレットペーパーをはじめとする家庭紙の製造・販売を長く続けて参りました。しかし、地球温暖化に代表される環境問題に直面したとき、美しい海・河川・湖沼を次世代に手渡すためにはどうしたらよいのか、という視点で商品開発に取り組むようになりました。
地球温暖化防止の施策の一つとして、二酸化炭素(CO2)の削減が急務とされ、二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすとともに、二酸化炭素(CO2)の吸収源を増やすため、国や企業の多くは植林活動に力を入れております。
一方、服部製紙では、光合成による二酸化炭素(CO2)の吸収量が熱帯雨林の2倍以上とも言われている、海の中の海藻や植物プランクトンなどで形成される『海中林*1』を保護することが大切であると考えております。水環境の汚染により海水が濁ることは、海藻や植物プランクトンの光合成を妨げ、海中林の減少となり延いては二酸化炭素(CO2)の吸収源の減少にもつながってしまいます。注目すべきはその汚染原因の60%~70%は家庭から流される生活排水であり、もっとも割合の大きいのは台所からの排水であるということです。そこで家庭紙メーカーである自社の強みを活かし家庭からの排水を少しでもきれいにできないか?という思いで、水資源の汚染防止に役立つ商品を開発し、地球温暖化防止に貢献したいと考えました。
日本には、東京湾・伊勢湾・瀬戸内海という三大閉鎖水域*2があり、なかなか水質の改善がなされておりません。服部製紙はその瀬戸内海に面している愛媛県の企業であり、1970年代の日本の高度成長期には工場からの排水で瀬戸内海を汚してしまったという罪があります。それは決して忘れてはいけない事です。様々な恵みをいただいている瀬戸内海はじめ、日本の海・世界の海に感謝の気持ちを込めて、それらの環境を守るための商品開発を行っております。
*1:海中でコンブ・ワカメなど比較的大きな海藻が密生している所。
*2:三大閉鎖水域と本社所在地の地図


ブルーカーボン保護
2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、CO2の排出量削減が急ピッチで進められています。しかし人が生活していく以上、ゼロになることはありません。
そこで注目されたのは「グリーンカーボン」です。森林によるCO2の吸収・固定により大気中のCO2を減らします。
日本では戦後の高度成長期に、木材資源の需要拡大に伴い、成長の早いスギやヒノキの植林活動が行われましたが、CO2の吸収を意識した植林が行われるのは1990年代後半からです。1997年に京都議定書(温室効果ガス削減に向けた国ごとのルール)が採択されたことが大きく影響しています。2000年代より、本格的な植林活動が始まりましたが、そこには問題点も存在します。戦後に植えられた樹齢が40~50年の木が伐採されず残っているのです。若い木はCO2の吸収量も多いのですが、高齢林は吸収量が減るだけでなく、貯蔵しているCO2を放出してしまうというリスクもあります。林業従事者が減り、間伐、伐採、植え直しという循環が滞っていることが問題となっています。
そこで注目されたのが「ブルーカーボン」です。世界的には2009年より徐々に認知され注目が集まっていました。日本でも2013年より研究が開始され、2018年頃から取り組みが開始されています。
「ブルーカーボン」とは沿岸部の海洋植物(海藻や海草、マングローブ林等)が吸収・固定するCO2を指します。
